今回発売されるオリジナルプリント「ファンクマスター」は長年にわたり
樋貝と撮影を重ねてきたスノーボーダー高久智基自身に最も思い入れの
深い1枚を選んでもらうことからはじまりました。同時に10年前に切り
撮られた「永遠のこの瞬間」ファンクマスターを中心にインタビュー、
TOMOKITAKAKU×YOSHIROHIGAIは欠かせないと思いました。
もしもタイミングが悪くインタビューが実現しなければこの写真を
当分冬眠させざるを得ない、と。
写真をアートとして観る分には本来エピソードは必要ないのかも
しれません。が、ファンクマスターは特別です。スポーツという
ジャンルにさえももしかしたら入りたがらない彼らの特殊な世界。
エクストリーム、フリーライドスノーボード。競技というものが
仮に太陽の存在であるならば彼らはいつも人々を魅了し続ける月。
語らなければ伝わらない部分を今回はあえて表に出しました。
そして自身が設立したパウダーカンパニーの企業理念でもある
「強く、速く、美しい滑走とガイド」が、今回のインタビューや
ファンクマスターの写真でみなさまに伝えられたら最高です。
ちなみにオリジナルプリントは限定30枚となります。気に入った方は、
ぜひお早めにご予約くださいね。プロが時間を掛けて丹念に仕上げます。
それでは引き続き、ファンクマスターストーリーをお楽しみください。
樋貝 今回ベストショットに『ファンクマスター』を選んだのはどうして?
高久 これには実は思い入れがあるんですよ。
高久 2000年のアラスカ4年目くらいだったと思うんですけど(仁科)正史と(西山)勇が来ましたよね。彼らはもちろん今もスノーボードシーンにいますけど、当時はジャンプやパークをやっていた世代のなかでアラスカに興味をもった最初だったと思うんですよ。
樋貝 若かったよね。
高久 (トリップのメンバー)玉井さんはパイオニアとしてトップにいて、アップカマーのマサシとユウが来て僕が中間で両方の気持ちもわかるし…。後輩がいるから、自分も頑張らなきゃって状況だったんですよ。
樋貝 頷く。
高久 それでこの日はすごくいいコンディションだったじゃないですか。全部のランがファースト・ディセントみたいな感じで。
樋貝(滑走距離は)短いけどいい感じのとこに行けてたよね。
高久 それでラストのこの場所がその日のなかでもひと際大きな山だったじゃないですか。
樋貝 確かに、標高差もあって。
高久 あった!
樋貝 なんか、ガバーってあってね。
高久 みんなとシェアして来ていて
樋貝君と撮影していたから、それまで太朗君と樋貝君が話し合ってラインを決めていくなかで、僕はあんまり我を出さずにいたんですよね。
樋貝 うん。
高久 それがここに来た時にメラメラというか、よーし行くぞ!みたいなのが湧きあがってきて、特にきっちり(みんなで)話し合って決めたわけではなかったんですけど、何て言うのかな…(一番に滑ることになった。)それから(ヘリのランディング地点から)ハイクアップをしたんですよね。20分とか。
樋貝 オレはそこからトラバースで沢の対面に移動したんだよね。こっち面は陽を受けてて雪が酷くてね。(怖くてそれ以上は進めなかった)
高久 しかも斜面の上から樋貝君がどこにいるのかも見えない!一緒にチェックして「あの辺行きますね。」じゃなくて。
樋貝 「だいたいオレと同じ高さくらいのところ当てて。来れば分かるから」
「とにかくいいよ」
「光はいいから」
目印ないから微妙な説明しか出来なくてね。
高久 でも、そんななかでもダメかなーって行くんじゃなく、
「よし、これ行ける!」って感覚があったんですよね。
樋貝 そっかー。
高久(写真のポイントまで)何ターンかしてきて、ちょうど、ここから沢の核心部が始まるところじゃないですか。先輩がいて、後輩もいて、一番を行かせてもらって、今日の中で、ひときわビッグ(斜面)で、積み上げてきたものもある。
樋貝 おー
高久 それで、この写真のところって(写真を指差しながら)ちょうど下まで全景がバーンって見えるんですよ。
「おっしゃ、行くゼー」みたいな、その瞬間なんですよ。
樋貝 なるほどねー。ところで、ライダー独自の写真の(技術的な)見方ってあるのかな?
高久 例えばこの自分の写真に限らず、(人の写真でも)見るのは、前のターン弧とそれに対するスプレーの大きさと写っているポジションですね。それでスピードが推し量れるじゃないですか? どこの位置にいるのかで。
樋貝 前のターンを見るんだ! なるほど。マニアックだね。ライダーじゃないとその見方はしてないだろうね。
高久 あーははははは(苦笑い) そうですね。
樋貝 では、最後に、写真に対する思い入れってどこらへんかな?
高久 そうですね。いい山で、いい光をバックに風景として残るようなキレイな写真も、もちろん欲しいんですけど、自分は滑り手として、どうなのか? 出来上がった写真を後から見て、どうなのか?ってことが一番重要です。なかなか簡単ではありませんけどね!
樋貝 そうだよね。難しい事だよね。そして、命をかけて滑っているんだからね。
長い時間、どうもありがとうございました。


