
樋貝 ちょうどニュージーランド帰りだけど、
今回特に感じたことがあるって?
高久 そうですね、ニュージーでも他の海外に滑りに行った時にも感じるのは、
日本のこのフィールド。自分がいるニセコも勿論なんですけど
日本のいわゆる山岳スキー場っていうのが、
一歩バックカントリーにゲレンデを離れてみようとか、
自分の足で登って滑走を楽しもうというような個人や
グループにとって非常に世界的にも恵まれている
フィールドだなって、すごく感じます。
樋貝 それは、どうして?
高久 というのは、日本では2000m以下の(標高の山に)
スキー場があるっていうのが、わりと多いと思うんですけど。
これは、まず体にも負担がこないんですね。
樋貝 なるほどね。うんうん。
高久 3000、4000mっていうと…
樋貝 ヨーロッパとかは普通に3000m超えてるとこあるものね。
高久 ありますよね。
まずその辺で(日本の山っていうのは)体に楽だし、
もちろんアクセスもしやすいですよね。
それとスキー場のまわりには、泊まったり、ごはんを食べたり、
アフタースノーボードを楽しむ上でもいろいろな施設が近くに
ありますね。場所も一時期(スキー)文化が栄えたというのも
あるんでしょうけども、(日本各地の)広範囲に、
名だたるスキーエリアが点在もしていますよね。
樋貝 そうだね。
高久 ということは、そこまで道も(普通に)
つながってるってことですから。
樋貝 ニュージーって道がやばいもんね!(笑い)
高久 道がないですから、はい。(笑い)
ニュージーは山が非常にすばらしいんですよね。
2000m級の山とかも多くて、明らかに山頂の方は
氷河であろうというような地形もあります。
でもここからっていうとこで、雪がなくなるんですよね。
樋貝 (山の)上だけ雪があるもんね。
高久 はい、そうですね。
樋貝 いい面もあるけど、残念な面もある。
高久 そうですね。
で、まー、あと、(日本の)バックカントリーでいうと
若干エリアは絞られるんですけども、いい山は、
滑ろうとしている斜面から山麓部(ふもと)まで
雪が積もってるんですよね。
樋貝 うん。
高久 っていうことは、(頂上から麓まで)全部滑り降りちゃう
ということが可能なんですね。
もし良いコースが他の方にあれば、それを滑りきっちゃって、
(また途中まで登りかえして)ボトムから道に出るとか方向とか
面を選ぶという幅がグンと広がるんですよね。

樋貝 なるほどね。
高久 特に僕が暮らしているニセコというのは、
そういう山が基本とも言えるし、あと東北であったり、
名前の通っているようなスキー場、山っていうのは基本的に条件が良くて、
山の斜面がなくなったとこまで雪があるっていうところが多いんじゃないかな。
海外に置き換えて考えると、こんな山を探すのは大変なんじゃないかな?
樋貝 そうかもね。
高久 はい。山は確かにデカいんですよ。
でも山があるのはその一部であったり、全然突拍子もない方に
降りちゃうから、滑ってからちょっとだけ降りて登り返し、
もしくはトラバース気味に帰るとか...、
というような形になっちゃうのかなと。
樋貝 規模がちょうどいいのかもね。
それと日本には山スキーっていう文化もあるね。
あっちからこっちにルートを抜けるっていう
ツアーの感じのものが多いよね。
もちろん、急斜面の一枚バーンを狙っていたひとは
当然いたと思うけどもね。
高久 いるでしょうね、はい。
生活の手段としても(ルートが)あったんでしょうし、
いまだにそこはそういうのを使ってたりとかあるんでしょうけどね。
もしくは今ではそれがソリになっていたりとか、
いろいろなってるんでしょうけども
滑らせてモノを運ぶとか移動するというのは、
できる立地条件にあると言えますね。
日本は非常に恵まれていますね。
樋貝 ちなみにツアーで長い距離を行くときも、
やっぱりスノーシューとかなの?
高久 そうですね。
やっぱり本当に長いところに行くんであれば、
スプリットボードとか。
樋貝 最近またちょっと流行ってるもんね。
高久 はい。ていうのもひとつの手段だと思っています。今では...。
ただライダーとして考えた場合は板が割れてしまっているってことは....。
樋貝 板の性能を相当犠牲にしてるもんね。

高久 自分としてはやっぱり、いざココから滑るぞ!っていう瞬間に
信じれるのは自分とボードとその雪というのがあるので、
そのうちのひとつが、いつものモノと違うというのは…
やっぱり真ん中割れているというのは、
トーションが弱くなりますしね…
*トーションとは板に力に負荷がかかったときねじれないでいようとする力のことです。
つまり板が真ん中で割れていると、簡単にねじれてしまうということです。
樋貝 別物になっちゃうよね、割れてるだけで。
高久 はい。
樋貝 ゼロからスプリットの設計をしていれば
いいかもしんないけれど...。(笑い)
高久 そうですね~。(といって腕を組む高久智基)
それにしてもやっぱり割れているっていうことで...。
樋貝 (エッジ同士が)キシキシするっていう感じとか、
(バインディングが)ガタガタするっていう感じとかの、
あの変な遊びが、気持ち悪いもんね。
高久 そうなんですよね。
でも、目的に到達するうえで困難を抱えるのならば
それもありだなって最近は考えるようになりましたね。
樋貝 場所に応じてっていう?
高久 はい。
樋貝 本当にスプリットじゃないと不可能っていう場所も
あるかもしんないもんね。
高久 はい、そうです。
重い荷物とか、アプローチのフラットが長いとか、
スキーヤーのパーティに入っていくパターンも考えられますし。
樋貝 たしかに確かに。
高久 その場合、圧倒的に行動が有利になりますからね。
樋貝 昔はたまに使ったりしてたよね。

高久 そー、でもライディングにはあんまりないですね。
樋貝 あー。
高久 はい。
樋貝 氷河キャンプには持って行ってたよね。
*2002年スクークングレイシャーの氷河キャンプ
高久 はい持ってきました。
樋貝 持ってくだけ持ってったけど、結局あんまり使わなかった?
高久 インスペクションのときだけですよ、結局使ったのは。
樋貝 1本に賭けるというときにスプリットであえて行く
っていうのはね~。たしかに。
高久 それ言っちゃうとスノーシューも持ちたくないぐらいですね。
ふたりとも笑う
樋貝 (両手で板を摑んで斜面にエッジを突き立てて登るジェスチャーをしながら...)
ほんとうは、こうやって板をこうやって、
ツボで行けたらって感じだもんね。
ライディングに賭けるのに、ロープが何十メートル、
アイゼンが何とかってありえない世界だよね。
スケートボードで何十キロって荷物背負ってなんか
出来るかって言ったらとんでもない話だよ。
でも雪だから何とか滑っているだけのことで、
パフォーマンスを考えたら荷物が少なけりゃ少ない方が、
良いもんね。
高久 リュックサック背負ってサーフィンするかって言ったら
しないですからね。(笑い)
樋貝 空っぽのリュックだったら骨盤がサポートされてて良いかも?
と思うときもあるけどね。(笑い)
高久 (ほんとかな~樋貝君という笑みを浮かべながら頭をかきつつも、
これから始まる樋貝の妄想話をニコニコしながら聴く高久智基であった…)
この続きはさてさて、どうなるのでしょう。
いよいよ残すところ次回で最終回です。
ではでは、VOL4もどうぞお楽しみに!!
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